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ファイバーレーザーで“遊び心”をカタチに──執行工業が語るペン立て製作の裏側と技術力

2025年10月01日

コラム

1. はじめに ─ ペン立て動画で示すものづくりの未来

「髪の毛より細いレーザー光で、犬や猫の尻尾の“フサフサ感”を表現する」──。

執行工業株式会社(千葉県野田市)が公開したペン立て製作動画は、最先端な技術を取り入れ他社とは違う技術力を公開しています。素材はごく標準的な角パイプと薄板ですが、3D-CAD+ロータリーインデックス付きファイバーレーザーという最新設備で、ミリ単位のデザインを短時間で再現。しかも切断面は酸化による焦げがなく、仕上げ工程が驚くほどスムーズです。

本記事では、公開されている動画の流れを追いながら「設計→切断→溶接→曲げ→仕上げ」という各フェーズで執行工業がどんな強みを発揮しているのかを深掘り。さらに、同社が一品物・特急案件を得意とする理由や、導入設備のスペックも網羅的にご紹介します。


2. STEP 0:アイデアをCADに落とし込む「設計の瞬発力」

  1. 2D図面を即座に3Dモデル化
    • 動画では最初に2D-CADで描いたスケッチを呼び出し、 SheetWorks/MAC sheetなど複数のCADソフトで立体化。
    • 干渉チェック板取り最適化をリアルタイムで行えるため、設計変更もストレスフリー。
  2. シミュレーションで“失敗の芽”を事前に潰す
    • ENSIS専用CAMでツールパスを生成後、加工シミュレーションを実行。
    • 切断順序やノズルの動きを可視化し、ムダな移動や熱集中による歪みを予見。

ここがポイント! 設計と製造を一気通貫で扱える体制は、後述するワンストップ生産の根幹。小ロットでも段取り替えに時間がかからず、リードタイム全体が短縮されます。


3. STEP 1:ENSIS-3015RIが担う“切断アート”の世界

3-1. ロータリーインデックスだからできる4面連続加工

執行工業が導入するAMADA ENSIS-3015RI(3 kW)は、板材だけでなく角パイプ・丸パイプ・アングル・チャンネルまでワンチャックで回転切断できる万能機。

  • 対応範囲: 角パイプ□19〜□150 mm、丸パイプφ19〜φ220 mm、形鋼L19〜L90──長さ6 mまで把持替えなしで加工可能。
  • 最大板厚: 軟鋼22 mm、SUS12 mm、アルミ6 mmと多材質対応。

3-2. 一面ずつ切る理由は“品質ファースト”

弊社で公開した動画では「なぜ1面ずつ切断して、次の面を切断しないの?」という疑問に対して解説するシーンがありました。その解説には弊社独自技術について触れています。

  • 一面全体を切った後に大きくヘッドが移動すると、保持チャック側に偏荷重がかかり、ガタつきや加工ズレを誘発。
  • 面ごとに“切る→90°回す→切る”を繰り返すことで、常に重心を装置中心寄りにキープし、無駄な移動を削減し作業時間の短縮を可能にします。

3-3. 窒素アシストと極細ビームで“切断面=完成面”

  • ビーム径は髪の毛より細いので、犬の尻尾や猫のヒゲのような繊細な抜き加工でもエッジがダレません。
  • 切断時は高圧窒素(最大20 bar)を吹き付け、酸化膜の発生を抑制。黒皮除去やショットブラストといった後工程をカットできるため、コスト削減に直結。

4. STEP 2:ファイバーレーザー溶接が叶える低歪み接合

切断後の胴体と底板は、レーザーックス OPTICEL FH-300を使ってファイバーレーザー溶接。TIGやCO₂と比べて入熱が約1/5程度なので、薄板でも裏波焼けがほぼ出ません。

従来TIG ファイバーレーザー(FH-300)
ビード幅 2.5-3.0 mm ビード幅1mm前後
歪み補正に要する板金工数 約70%削減
焼け取り・研磨 ほぼ不要

さらに、OPTICELは空冷モデルのためチラーが不要。装置レイアウトが自由で、試作エリアにも気軽に移動して使えます。

また、弊社で公開した動画ではOPTICEL FH-300を使用しておりますが、現在ではさらに性能が向上した上位機種「WT-FL2000」を使用しております。出力が300Wから2000Wまで大幅に向上し、薄板のみならず厚板の深い溶け込み溶接が可能となりました。


5. STEP 3:職人の手技が光る曲げ加工&フィニッシュワーク

仕上げは“職人の技”に委ねる

最終的な微調整や内板の挿入、メガネハンガー部の仕上げは熟練職人が担当。メガネハンガーにはお飾りをぶら下げてもオシャレ感アップ!製品に”唯一無二の味”を吹き込みます。


6. 執行工業のワンストップ体制が選ばれる5つの理由

  1. 設計〜組立まで自社完結
    • デザイン提案・強度計算・加工・塗装・仮組まで社内で実施。外注コントロールによるタイムロスなし。
  2. “1個から”大歓迎の少量多品種体制
    • アイデア提案から製品完成までワンストップで提供しています。レーザー切断、曲げ加工、溶接を含む一連の工程を自社で行い、短納期での高品質な製品づくりを実現可能です。
  3. 豊富な材料ストックで超短納期に対応
    • 軟鋼・SUSを板厚別に常備。材料調達を待たずに即日加工スタート。
  4. “設備×若手×ベテラン”のハイブリッド組織
    • 20代〜80代が在籍し、最新機械の知見と職人技術を両輪で共有。失敗学とDXを同時に回す学習体質が強み。

公式サイトも要チェック! 同社は量産工場ではなく「アイデア提案から製品完成までワンストップで提供」を掲げています。


7. 導入設備・対応スペック早見表

区分 機種名 主な仕様・特長
レーザー切断機 ENSIS-3015RI 3 kW、板材+パイプ切断、6 mロング材対応
ENSIS-3015AJ 高速切断、薄板特化
レーザー溶接機 OPTICEL FH-300 ×2台 ビード幅1mm前後、空冷・移動式
WT-FL2000 ×1台 ビード幅1mm 〜 6mm、水冷・移動式
ベンディングマシン HG2203(BCLS(曲げ反り改善システム)搭載) 220 t、L軸繰り返し精度は±0.003mm
三次元測定機 WM-3000 最大測定エリア 幅:10000 mm 奥行:3500 mm 高さ:5000 mm
塗装ブース 焼付用/自然乾燥用 焼付用乾燥機(IW2800xID1400xIH2400)

8. 少量多品種でも安心!よくあるお悩み&解決シナリオ

お悩みシーン 執行工業の解決策
試作1台なのに他社に断られた 小ロット専用ライン&在庫材活用で短納期が可能。
現物しかなく図面がない 現物採寸→CAD化→ENSIS加工で“そっくり製作”を実現。
装飾什器なので美観を優先したい 窒素アシスト切断+レーザー溶接で酸化焼けゼロ・研磨レス
複雑形状 精密曲げ+職人ハンドワーク、必要に応じてロウ付や多材質接合も提案。
短納期でもなるべくコストを抑えたい 工程内製化と段取り自動化により人待ち時間を最小化。

9. まとめ ─ 70年企業が提示する“次の70年”の金属加工

1955年、風呂釜メーカーとしてスタートした執行工業は、2025年で創業70周年を迎えました。今やファイバーレーザー/3D展開/精密板金/製缶を核に、世界に誇れる「技術力」をさらに磨きをかけ躍進中です。

今回公開しているペン立て動画は、「小さな製品でも世界最高レベルの加工技術を注ぎ込む」という同社の姿勢を象徴しています。設計・切断・溶接・曲げの全工程で高度な自動化を進めつつ、最後の仕上げは職人の感性でフィニッシュ。ハイテク×ヒューマンタッチ──この絶妙なバランスこそ、執行工業がこれからも選ばれ続ける理由だと考えています。


10. 会社情報・お問い合わせ

社名 執行工業株式会社(Shigyo Industry Co., Ltd.)
所在地 〒278-0012 千葉県野田市瀬戸930
TEL 04-7138-0311(平日9:00-17:00)
URL https://www.shigyokk.com/
見学受付 常時(要予約) ─ 設備見学・技術相談・試作打合せ可
主要業務 レーザー切断/レーザー一般溶接/精密板金加工/製缶/3D展開/塗装

「こんなの作れる?」まずはお気軽にご相談ください。

図面がなくてもアイデアスケッチ一枚から形にします。工場見学では実機デモも可能。最先端ファイバーレーザーの切断スピードと仕上がりの美しさをぜひ体感してください!


執行工業は、あなたの“やってみたい”を金属でカタチにします。

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